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私の(数多ある)長所の1つは、物を大切に扱うことだ。何にしても物持ちがいいため、余計なお金を使わずに済む。悪く言ってしまえば、ずっと同じものを使い続けるので貧乏性なのだろう。いまだに部屋着として高校時代の体操服やジャージが登場するのは当たり前で、下手をしたら中学時代にお土産でもらったTシャツなどが出てくる。そんなことなので、因果関係があるのかは不明だが、私はモノがとても多い。
対して「スーパーテキパキガール」こと嫁は、モノに頓着がない。これは私の推論であり静かな反論でもあるのだが、彼女はモノに対する思い入れが薄いのだ。モノはモノであり、それ以下でも以上でもない。そこに余計な意味を見出すことは彼女にとって無意味なのだ。これ以上言うと怒られそうなのでやめておこう。もちろん、その時々でお気に入りのモノというのは存在するのだが、もう使わない・使えないと判断するな否や、翌日には部屋から跡形もなく消えている。
そんな嫁は、整理整頓ももちろん得意。私には到底理解できない錬金術でも使っているかのように、モノを自由自在に操る。もはや芸術の域だ。私はというと、パチンと手を合わせ床についてみても、指を鳴らしてみても、何も起こりはしない。どうやら私は錬金術師ではなく、右からくるものを左へただ受け流すだけのムーディのようだ。一体彼女はどこで修練を積んだのだろうか。
そんな嫁を見ていて、ふと気がついた。
「嫁はもしかしたら、セットコレクションも得意なのでは?」
セットコレクションとは、ボードゲームのシステムによく用いられる用語だ。簡単に言ってしまえば、たくさんある種類のモノの中から、同じ種類のものを集めて得点を得るゲームのことだ。麻雀の役といえば想像もつくかと思う。
たくさんあるものから順序整理よく整頓して得点を稼ぐゲームならば、こんなに嫁に合うゲームはないだろう。
そうと決まれば即行動だ。ボードゲームに興味のない嫁をしつこく誘い、ようやく日曜日に約束を取り付けることができた。
行うボードゲームは「Splendor」。海外発のゲームだが、日本語版も発売されており、日本名は「宝石の煌き」として多くの人にも楽しまれているゲームだ。詳しくは下記ブログで紹介しているが、要は宝石を集めて得点が高い人が勝利するゲームだ。
そして迎えた日曜日。結果はご想像通りというか、嫁の圧勝に終わった。
ある程度先を見据える必要があるこのゲームでは、序盤にどの宝石をとっていくと効率が良いのか的確な判断力が試される。自分の好きな宝石や、目先の得点に気を取られて気持ちよくなっている私を尻目に、嫁は瞬時にゲームの勝利のための最短ルートを導き出し、必要な宝石を取っていく。最初こそ私がリードしていたものの、気がつけば嫁の手の上で踊らされていた。
ゲーム終了後、嫁にどんなことを考えながらプレイしていたのか聞いてみた。すると彼女は驚いたことに「何も考えていない」という。なんということだ。私と彼女とでは同じようにぼけーっとプレイしていてもこんなに差がでてしまうのか。恐るべし整理整頓DNA。この特殊能力は先天的なものなのだろうか。
そして最重要事項の確認だ。ゲームの感想を聞いてみると、「まあ面白い」との一言を頂戴した。圧勝しておきながら、なんて中身のない感想なのだろうか。全力を尽くして戦った自分があまりにも不憫だ。しかし、私の手元に散らばっているバラバラの宝石を見ていると、何も言い返すことはできなかった。
いつの日か、嫁をボードゲーム沼に落とすために、まずはデスクの周りの掃除から始めてみようと決意した日曜の夕方であった。
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