【ボードゲーム】Techno Singularity:テクノシンギュラリティの魅力とは【2023春ゲームマーケット】

人工知能の発展がもたらすのは、新時代への福音か、破滅への序曲か。

S.Takahashi

ゲーム基本情報

プレイヤー人数2-5人
プレイ形式対戦形式
プレイ時間60ー120分
対象年齢12歳以上
ゲームデザインHibiki Takashima
イラストデザイン画像生成AI
価格6,000円

ゲームの目的

今、世界は転換期を迎えている。

人工知能という新たな生命の誕生を機に。

人類は未来の発展のためにそれを生み出したが、驚異的なAIの学習スピードには我々も舌を巻くばかりだ。

プレイヤーたちは、そんなAIを導入した各企業を担当し、他プレイヤーに負けじと利潤を追い求める。

科学技術を発展させる者、AIの技術を高める者、先の未来を見据え、先行投資をする者…。


しかし、まだ誰も気づいていない。

彼らが本当に警戒すべきは、他プレイヤーなどではないのかもしれないのだから。

ゲームの流れ

このゲームは、誰かがゲーム終了のトリガーを引くまで続くトリガー形式のゲームだ。

自分の手番ではまず、5つあるアクションのうち2つを選び、それぞれを実行する。

実行できる5つのアクションは以下の通り。

  • Staffing Dept(人材派遣部門)
  • IT Dept(IT部門)
  • Stock Dept(投資部門)
  • R&D Dept(研究開発部門)
  • Plant Dept(製品販売部門)

Staffing Dept(人材派遣部門)

Staffing Deptはその名の通り、「ヒト」の部署だ。

「ヒト」の足で資金を調達し、「ヒト」の流れを円滑にする。

一見アナログな仕事であるが、企業にとっては重要な部門といえよう。

IT Dept(IT部門)

IT Deptでは、AIの技術の根幹となるPCのコントロールをする部門だ。

費用はかかるが、PCのレベルを向上させることによってより早く、より高度な技術を取得することができるだろう。

Stock Dept(投資部門)

Stock Deptは、企業における他社の監視と資産運用の部門だ。

今後どんな技術が発展しそうなのか、その技術をどの企業がより早く研究するのかを見極め、種を蒔いておく。

R&D Dept(研究開発部門)

R&D DeptのR&DとはReserch&Developmentの略で、研究開発を表す。

今自分の企業にどんな技術が必要なのか、その技術の取得にはどれくらいの時間がかかるのかをしっかりと把握することが重要となる。

Plant Dept(製品販売部門)

Plant DeptはR&D Deptで研究した技術をもとに製品化し、販売する部門だ。

資金を獲得できるアクションは多くはないため、いつ販売するのか、いつまでに研究を終わらせておかなければならないのかを前もって計画しておくことが必要になる。

また、販売した製品はプレイヤーに資金をもたらすだけでなく、今後恒常的に使用できる新たな技術をもたらす。

魅力ポイント

いち早くのばせ、テックツリー

メインボードに配置されるのは、プレイヤーが研究できるテック(科学技術)である。

それぞれの技術は、取得までにかかる時間や、研究完了時に得られる勝利点、生産販売時に得られる資金や能力が明示されている。

また、各テックには技術の「性格」がある。

つまり、同系統の技術はレベルの低い技術から派生しているため、最初から計画性を持って取得していかなければならない。

もちろん未研究の派生にそぐわない技術は取得することができないため、各プレイヤーが戦略性をもっておくべき部分と言える。

さらに追い討ちをかけると、各テックは2枚しかないため、3人以上のプレイでは特定の技術が取得できないこととなる。(プレイヤー人数による)

もし、未研究分野の技術を研究したい場合、すでにその技術を研究済みのプレイヤーに安くない技術のライセンス料を支払う必要があるだろう。

マルチエンディング方式とエンディング別目的カード

このゲームの大きな特徴の1つと言っても良いのが、ゲーム終了を引くトリガーが複数ある、マルチエンディング方式であるということだ。

以下の3つのエンディングがこのゲームには存在する。

  • TEC END(科学技術エンド)
  • STOCK END(投資エンド)
  • SINGULAR END(シンギュラリティエンド)

TEC END(科学技術エンド)

TEC ENDは、人類がAIの扱いを完全に理解した上に成り立ったエンディングと言える。

すなわち、テックツリーの最上位技術を全て研究完了した際に、トリガーが引かれゲームは終了する。

このENDの最上位技術は全部で5つあるが、1人で研究する必要はない。

全員で協力しながら達成する終了条件ともいえるかもしれない。

STOCK END(投資エンド)

STOCK ENDは、自分が投資した科学技術の最上位テックを複数研究することで達成するエンディングである。

投資はゲームの始めに投資先が制限されてしまうため、軌道修正が難しいが、最初から一貫してプレイを曲げずにプレイできる人にはうってつけかもしれない。

SINGULAR END(シンギュラリティエンド)

SINGULAR ENDは、TEC ENDとは逆に、AIの知能が人類の知能を完全に上回ってしまった結果起こったディストピアといえよう。

このゲームでは、シンギュラリティポイントと呼ばれるものが存在しており、毎ラウンド終了時に少しずつ上昇していく。

この数値が規定値に達してしまった時、シンギュラリティが発生し、ゲームは突然に終了してしまう。

これら3つのエンディングによっては、VPの変動が大きく変わってくるため、ゲームの流れを見て自分のやるべきことを明確にしておく必要がある。

そして、エンディングに大きく関わってくるのが各プレイヤーに配られる目的カードだ。

目的カードは最初に3枚配られ、それぞれに達成すべき項目と、達成した時/しなかった時の勝利点が描かれている。

そしてなんと、その勝利点は各エンディングによって大きく変わってしまうのだ。

どの目的カードを優先して達成すべきなのか、そしてそのためにはどのエンディングを選ぶべきなのかを考えるのはとてもワクワクする。

ダブルロンデルでトレンドを掴め

このゲームでは、基本的にアクションは時計回りで実行されていくのだが、スタートプレイヤーにいたってはこの限りではない。

しかし、アクションとしてスタートプレイヤーをとるわけでもない。

スタートプレイヤーを決定づけるのは、サブボードに設置された2重のロンデルである。

このロンデルはラウンドのクリーンアップ時に動き、次のラウンドのスタートプレイヤーとトレンドを決定する。

具体的には以下の通りだ。

  • PCレベルが一番高いプレイヤー
  • 個人シンギュラリティポイントが一番高いプレイヤー
  • ボード上の勝利点が一番高いプレイヤー

がそれぞれスタートプレイヤーを獲得する。

また、内側のロンデルは外側のロンデルと連動しており、トレンドを決定している。

外側のロンデルに示されたアクションをとることで、内側のロンデルの特典を受けることができるのだ。

具体的には以下の通りだ。

  • 3金を得る
  • 個人シンギュラリティを1下げる

このロンデルを意識することで、ゲームをより戦術的にすることが可能だ。

一度傾いたらもう止まらない?加速度を増す後半戦

そしてこのゲーム最大の山場は、じんわりと、しかし突然に姿を表す。

最初に説明したように、このゲームのテーマは、AI導入後の世界を描いている。

そして、AIの学習能力の高さは、今まさに我々が感じているものでもあるが、本当の意味ではまだ誰も理解していないのかもしれない。

ゲームでは、AIの知能指数を表す指標として「シンギュラリティポイント」と呼ばれるものを導入しており、これがある規定値に達するとシンギュラリティが起こり、ゲームは終了する。

シンギュラリティポイントは、最初こそ緩やかな上昇であるが、PCレベルが上がったり、より高度な科学技術を研究していくにつれ、そのスピードは徐々に様相を変えていく。

白熱する戦いに、きっと目が離せなくなる。

気づいた時にはもう遅い。科学技術の成れの果て。

そうして気づいた時に、ゲームの終了は唐突に訪れる。

…ゲームが終了した時、あなたは本当にあなただろうか?

何が起こるのかは、あなた自身が身をもって体験してほしい。

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