私は生粋の空想主義者だ。
なんだその造語は、と自分でもその言葉の意味はわかっていないのだが、とにかく、ファンタジーが好きなのだ。SFはもちろんのこと、魔法などといった現実ではありえないとされているものが好きで好きでしょうがない。この起源は私の記憶の中ではおそらく、小学生の時に読んだ「エルマーとりゅう」に起因しているのだと思う。私と同年代の方ならば、一度はその本を幼い時に手に取り、読んだことがあると言う方もいるのではなかろうか。
一般的にりゅう・ドラゴンといった生物は、ザ・空想上の生き物であり、誰もが一度は憧れた経験をお持ちだろう。
今回はそんなファンタジーあふれる世界観、そしてドラゴンに焦点が置かれたボードゲームの紹介だ。まだプロジェクトが発表されたばかりなのであるが、ここまで胸が高まっているのは久しぶりだ。
そのボードゲームの名は「Flamecraft」。
私だけではなく、この作品が気になっている人の参考になれば嬉しい。
こちらの記事でも少し紹介しているので、もしよければ読んでみてね。
どこまでも広がるファンシーな世界
この平和な街に火を吹く邪悪なドラゴンはもういない。代わりにこの街に住み着いているのは、古代の魔法使いたちによって大切に育てられた可愛らしくもユニークで個性的なドラゴンたち。
彼らはその個性的な力を持って、ショップにさまざまなものをもたらしてくれる。
本当に、なんて可愛らしいドラゴンたちなのであろうか。
この記事では、そのあまりに愛くるしい彼らにあてられたため、ことあるごとに「KAWAII」を連呼していこうと思う。
ドラゴンといえば、それこそファンタジー世界には不可欠レベルで大人気であるが、その多くは男の子が憧れるようなゴツゴツとした体に、ギラリと光る鱗。大きな翼で風圧を起こし大空を舞い、火を吹いて冒険者に立ちはだかる、といった描写であることが多いことだろう。
しかし、上記の画像をみてもらえばお分かりの通り、このゲームに登場する全てのドラゴンたちは、なんて丸みを帯びた、どの子も思わず抱きしめたくなるほどの形態をしている。
そして彼らに呼応するように「争い」という言葉が存在しないのかと錯覚するような平和で、今にもポップなBGMが聞こえてきそうな街の風景。ファンタジー世界の中でもひときわ「ファンシー」な要素がぎっしり詰まっているゲームのようだ。
複雑なメカニズムは一切なし
プロジェクトの開始と同時にルールが公開されるのはもはや、キックスターターでの常識になりつつあるのかもしれない。もちろん最終ルールではないのだが、これは我々支援者にとってはゲームの内容を素早く知る上でも非常にありがたい。
中身を読んでみると、とてもシンプルでわかりやすく、ボードゲームを初めて行うであろう初心者にも勧めることができるレベルの複雑性であった。ページ数も多くなく、ポイントとなる部分はこれまた可愛らしいアイコンがついており、興味を惹く。ただし言語は英語であるため、もし支援を検討されているならばその部分は見過ごせない点である。
現在登録される予定の言語は、英語の他にフランス語・ポーランド語・ドイツ語・中国語・韓国語・スペイン語がある。プロジェクト2日目にしてこれだけの言語が追加されたので、おそらく国内でもどこかが声をかけているのは確かだろう。最終的に日本語が追加されるのかどうかは断定できないが、期待したいところである。
簡単ではあるが、キーとなりそうな部分を下記でまとめたのでぜひ参考にしてみて欲しい。
ゲームの概要と簡単な遊び方
まず、このゲームを一言で表すならば「可愛い」に尽きる。
もう少し詳しく言うなれば、「可愛いドラゴンたちに一番愛されるにはどうするか」奮闘するゲームだ。
なんて平和なゲームなんだ。いつものギスギスし、他人のアラを探し、そこを重点的にちくちくと攻めるゲームの何百倍も清らかなゲームであることは間違いない。
プレイ人数は2-5人。プレイ時間は60分前後と中量級といったところ。対象年齢は14歳以上だ。
ゲームのメカニズムは根っこに「共有のエンジンビルド」がひかれている。これは後に説明するが、街にはいくつもの「ショップ」が点在しており、そのショップはプレイヤー全員で共有するショップである、ということを示している。全員が同じショップを利用する中で、どのように可愛らしいドラゴンたちに好かれるのかを考えればよいわけだ。
1 ショップを訪れよう
手番になったら、まずは街のどのショップかを訪れよう。訪れる際は、自身を示す「ドラゴンマーカー」をそのショップに置くことで自分が今どこにいるのかを示そう。この時、前回訪れたショップには行けないので注意!そして、もし今回訪れるショップに先客のプレイヤーがいたのなら、物資をプレイヤーに渡さないといけないので、なかなか悩みどころである。
ああ、火を吹いているドラゴン可愛い。ディズニーランドにこんなお店ありそうだし、きっと人気店。
2 物資を得るか、ショップに魔法をかけるか
店を訪れた後は、そのショップで何をするか、だ。
できることは2つに1つ。物資を得るか、店に魔法をかけるか、だ。またどちらを選択した場合でも、ここから少し細かいオプションルールがあるのだが、簡略な説明に留めておく。
物資を得る場合、その名の通り、ショップに記載されているアイコンの物資等を得たり、手札のドラゴンカードをショップに配置したりできる。
また、任意でそのショップの効果を使ったり、ショップにいるドラゴンを活動状態にすることで報酬を得ることができる。
店に魔法をかける場合、エンチャントカードというものを使用する。それぞれのショップに合ったエンチャントカードが存在(パン屋ならパンの、肉屋なら肉のカード)し、カードに示されている対価を支払うことで効果を発動し、報酬を得ることができる。
また、エンチャントカードはショップの下に挟むことでその効果を永続的に使用することができるようになる仕組みだ。この時、もしドラゴンがいればその順番を入れ替えることも可能とのこと。
パン焼いてるドラゴンも可愛い。ここのパン屋さんも人気なんだろうな…。
3 ドラゴンたちに頑張ってもらう
これは正確には、上記の「物資を集める」アクションの説明の続きだ。物資を獲得した後、手札のドラゴンや、すでにショップにいるドラゴンたちを「活動状態」にすることで、プラスで報酬を得ることができる。
これは鉄のドラゴンなのだろう。彼らが作った陶器などもまた味がありそうで、ぜひインテリアに欲しい。
4 街を拡張しよう
もし、プレイヤーが店を訪れ、アクションをしている最中に、店の全てのスロットにカードが置かれた場合、新しく街にショップを開くことができる。
街には最大で14ものショップを連ねることができるため、ゲームの後半はどの店にいこうか迷ってしまうこと必須だ。
なお、ゲームの始めは街には6つのショップが存在している。
アートワーク・コンポーネントは唯一無二
さきほどから可愛らしい画像のオンパレードでもう私の心は満たされているのだが、それほどにこのゲームの魅力はアートワークにあるのだろう。どこをみても可愛いとしか表現できないドラゴンたちに加え、穏やかさを象徴するようなタッチのアートワークは、ゲームをプレイしていてもきっと穏やかな気持ちにさせてくれるだろう。
また、アートワークに留まらず、デラックス版を支援しようものなら、物資が紙製のトークンから木製のトークンへ、ドラゴンのミニチュアまでついてくると言うのだ。
送料は日本への配送を見ると概算で24ドル。安くはないが、現在のコロナの影響から来るコンテナ問題を鑑みれば、お得と言えるかもしれない。
愛くるしい街のドラゴンたち
簡単にこの街に住まう、キュートなドラゴンたちを紹介しよう。この街には6種類の「職人ドラゴン」と、特にユニークな個性を持つ「ファンシードラゴン」が住んでいる。
Bread Dragons
彼らは公園で遊んでいるほかのドラゴンたちを自分の手札へ招き入れてくれる。とてもフレンドリーでやさしいドラゴンだ。パンのいい香りがする彼らは、今が食べごろだと言わんばかりに温かい体温を保っている。
Meat Dragons
活発な性格で外交的な彼らは、とても社交的。いつも生き生きとした彼らを見ていると、こちらまで気持ちが明るくなってくる。彼らはショップの空いているスロットにドラゴンを配置することができる。
Iron Dragons
大きな体に頑丈な鱗を持つ彼らは、まさに職人と呼ぶにふさわしいだろう。彼らの炎は硬い金属をも易々と溶かし、時には自身を傷つけてしまうことも。そんな彼らは、同種のアイテムを2つ収集することができる。
Crystal Dragons
クリスタルドラゴンは、その名前が示す通り古風で、綺麗なジュエリーを身につけるのが大好きなドラゴンだ。静かで厳粛な彼らだが、貴重な鉱物や鉱石を探しに出かけるのが好きで、街にあるランタンを点灯し、維持する役割をになっている。そんな彼らは、同種でない3つのアイテムを拾ってきてくれる。
Potion Dragons
調合の達人であるポーションドラゴンは、頭にふりふりのフリルがついており、強力な薬から身を守るために硬い鱗を持っている。色々な種類の調合をするため、どうやら前足は変色してしまったようだ。そんな彼らの趣味はコーヒーだ。毎週土曜に開催されるラテアート大会のために、今日も最高のコーヒーを淹れるのだ。彼らは、自身と公園にいるドラゴン、または他の店舗にいるドラゴンを交換することができる。
Plant Dragons
プラントドラゴンの、葉っぱのような形をした鱗は驚くほど柔らかくしなやかだ。彼らの吐く息は熱くなく、暖かな霧のように感じられる。花粉をよく引き寄せ、植物の生育を促進する効果もあるようだ。そんな彼らは外が何よりも好きであり、できれば屋内にはいたくないほど。毎年、誰が一番大きな野菜を育てることができるか競争しているようだ。彼らは、他のプレイヤーにアイテムを渡すことで、勝利点を2つもってきてくれる。
Fancy Dragons
ほかの6種のドラゴンたちとはちょっと違う、特殊なファンシードラゴンは、大きな翼を持っている。とても鮮やかな模様と色を有する体はとても綺麗。彼らの炎は、全く熱くなく、どんな形にでも変化することができる。そして何よりその炎は最低2色以上という鮮やかさだ。
そんな彼らは、我々プレイヤーの活動の功績によってのみ近寄ってきてくれる存在。ショップの特定の場所に職人ドラゴンを配置することで入手が可能だ。彼らの能力は独特で、ゲームの終了まで秘密にされている。
【期間限定】パズルを解いてミニチュアを手に入れろ
今回のプロジェクトでは、特設サイトに設置された数種類のパズルを解くことで、アドオンのミニチュアを無料で手に入れることができる。
このような試みはプロジェクトを盛り上げる意味で非常に効果的だと思うし、何より楽しいので大好きだ。
また、数種類のパズルを全て解いた中の数人にはなんと、今回のプロジェクトのオールインプレッジがプレゼントされるというのだから驚きだ。
期間は8月中なので、ぜひ楽しみながら挑戦して欲しい。
まとめ
こんな感じで「Flamecraft」を紹介してみた。前回紹介した時は箱絵に少しの紹介文のみだったため、ルールなどで中身スカスカじゃないといいなぁ、と思っていたのだが、今回ルールに加えコンポーネント等も見ることができ、十分に魅力的な作品であることは理解することができた。
プレイ時間が90分を超えてくるようないわゆる重ゲーではないのかもしれないが、それを補完する以上のアートワークにガツンと撃ち抜かれた私にはもう正常な判断はできそうにない。いや、もう少しシステム的に複雑な方が好みだ、アートワークなんかゲームの良し悪しには関係ない、という方にはお勧めし難いが、「可愛いは正義」という普遍の事実を前にしてただ頭を垂れるだけの私と同類の方であれば、全力でオススメしたい作品だ。
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