最も強い種が生き残るわけではなく、最も知能が高い種が生き残るわけでもない。生き残るのは、変化に最も適応できる種である。
“It is not the strongest of the species that survives, nor the most intelligent that survives. It is the one that is the most adaptable to change.”
Darwin’s Journeyは、ダーウィンの歴史的で偉大な航海を美しく再現したゲームだ。
ビーグル号に乗り込み、一生に一度の航海に出かけようじゃないか。
ガラパゴス諸島の豊かで多様な生態系を探索しながら、種を調査し、博物館に届け、故郷と通信し、進化論を発展させ、本島のいずれかに基地 (キャンプ場) を設置しよう。
ゲームの概要
ゲーム名 | Darwin’s Journey ダーウィンズジャーニー |
プレイ人数 | 1-4人 |
プレイ時間 | 90-150分(セットアップ20分、説明30分程度) |
複雑性 | 中〜重 |
デザイナー | Simone Luciani, Nestore Mangone |
出版社 | ThunderGryph Games, Kenbill |
ダーウィンズジャーニーは、あのバラージのデザイナーであるルチアーニ氏が手がけた、2023年上半期で最もアツいゲームといっていいだろう。
何が私にそう感じさせるかって?それを以下で説明していこう。
資金繰りが非常にシビアなワーカープレイスメント
ダーウィンズジャーニーは、各プレイヤー4人のワーカーを用いてガラパゴス諸島を旅するワーカープレイスメントである。
探検、航海、通信、学術、etc…。
探検家たちは、ターンごとに以上のようなアクションを打つわけだが、強力なアクションや上限数のあるアクションは先着順だ。
後追いで同じアクションを打つことも可能ではあるが、そのためには自分の資金を投げ打たなければならない。
しかし、手元資金はひもじく、資金を得るアクションは明らかに弱いムーブになってしまう。
さらに追い討ちをかけるように、アクションはどんどんと埋まっていく。
ボディーブローのように効く資金問題は、このゲームでは切ってもきれない問題だ。
だが、その緊張がとても心地よい。
出だしをミスると後半の巻き返しがなかなか難しく、何もさせてもらえないかも
このゲームだけではなく、バラージもそうなのだが、とにかく出だしが肝心だ。
ダーウィンズジャーニーは、セットアップからすでにゲームが始まっていると言っていい。
ここで戦略的なアドバイスを一つ。
見るべきは、ゲームの可変要素である「スペシャルアクション」「クルーカード」そして「目的タイル」だ。
この3つをいかに自分のものにできるかが、このゲームで処理するための最も重要な部分であると断言しよう。
逆に言えば、何も考えずゲームをスタートしてから考えだしてしまったら最後、凶悪なユーロゲーマーに屠られるのは目に見えている。
後半はただ強者がコンボをつないでいるのを指を咥えて見ていたくないのなら、スタートダッシュだけには気を配ろう。
ただ、5ラウンドしかないのでそこまでだらだらすることもない
もしそれでもスタートダッシュに失敗してしまったからといって悲観することはない。
このゲームのいいところは、5ラウンドという制限が付いていることだ。
どんなに辛くてもやがてゲームは収束する。
ノってきた!という一番いいところでゲームは終わるので、次はこんな戦略でやってみたい!という感情が自然と湧き上がる。
こうなるゲームは、たいていの場合、とてもいいゲームだ。
コンボが決まるととても気持ちよく、ゲーム中に色々と戦略を試したくなる
これは何もゲーム終了間際に感じることではない。
私が初見の時は、完全にスタートダッシュに失敗し、上記の通り指を咥えてみていたのだが、そんな中でも「このゲームめちゃめちゃ面白いな…」と感じていた。
ああ、最初にこうしておけば後々このアクションにつながってもっといい動きができたのに…!とか、いや今からでもこれだけはできそうだしワンチャンあるかもしれない…!とか。
負けていてもこのように感じることができるのは、コンボの気持ちよさにあると考える。
このゲームでは、各ワーカーは専門性を持ち合わせており、プレイヤーの好きなように成長させることができるのだ。
つまり、後半では育ったワーカーが強力なムーブを繰り出すこともままある。
故に、勝ち筋はいくつも考えられそう
何度かやってみて思ったのが、やればやるほどやってみたいことが出てきて、試したくなってくるのだ。
今回は、探検に特化してコンボを繋げてみよう!だとか、最強のムキムキワーカーを育ててみよう!とか、報酬ボーナスは毎回俺のものにしてやる!だとか。
ある程度のリプレイ性は担保しているといっていい
それを可能にしているのは、「スペシャルアクション」「クルーカード」「目的タイル」「封蝋」などの可変要素の多さだろう。
これらを元にプレイヤーたちは毎回違う計画を立てなければならない。
そして、もう一つ重要なのが、5ラウンドというゲームがちょうど良い時間枠に収まってくれることだ。
重いゲームは満足度を上げてくれるが、それがリプレイ性に直結するわけではないことは、ボードゲーマーならわかるであろう。
初見プレイはさすがにゲームの理解があるので、3時間ほど見ていいが、慣れれば2時間以内で十分に収められるだろう。
ボードやアートワークは美しく、ビジュアル面は大満足
始めに紹介すべきであったが、このゲームのコンポーネントは非常に満足度が高い。
美麗なアートワークに、手触りのいいタイル類、そして木駒。
デラックス版ならなおさら、デュアルボードや木駒のシルクスクリーンなどがボードゲーマーの心をくすぐる。
封蝋がくっ付きやすいのはご愛嬌であるが、スタンドポーチでプラマイちょいプラスだ。
個人的には布製のメインボードが最高オブ最高である。
情報過多に気をつけて
ここからはマイナスな面ではないのだが、気をつけてほしい点も書いておこうと思う。
まずは、このゲームが頭でっかちに見えるという点。
ルールブックを見て貰えばわかるが、意外と厚い。
ルール説明を聞いたあと、きっと皆さんは単純なルール量の多さとメカニズムの複雑さに圧倒されていることだろう。
そんな中ゲームがスタートすれば、頭がショートしてしまい、長考地獄に陥ってしまうかもしれない。
まずは慣らしで1ゲーム
しかしここで見切りをつけないでほしい。
ゲームの構造さえ理解できれば、これはさほど問題ではない。
また、このゲームはアイコンで完結するものが多く、それも最初のゲームが長くなる原因の一つである。
ワーカープレイスメントというメカニズムでは基本、全てのアクション1つ1つがとても重要。
だからこそ、1回目は慣れるための練習と考えた方がいいかも。
初見のプレイで見切りをつけるのはあまりにもったいない
それほど戦略性に富んだゲームと言えるのが今作だ。
確かに、大手を振って初心者に勧められるゲームかと言えば全くそうではないだろう。
何度も同じゲームをプレイしたい、研究したいというユーロ大好きボードゲーマーに愛されるゲームだ。
求められるのは、ワーカー配置、資金繰り、コンボを緻密に考える計画性。
得点方法などはバラージを思い出させられ、同作のファンにはたまらない。
そんなアツい体験がしたいアナタに。
このゲームはダーウィンとの最高の旅路を約束する。
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