【ボードゲーム】フードチェーンマグネイトの紹介【経営者たれ】



「レモネード?

連中はレモネードが欲しいのか?

世も末だな。

15分おきに全てのチャネルでバーガーの宣伝を打たなくてはならん。

我々はホーム・オブ・ザ・オリジナル・バーガーで、ヒッピー・ヘルス・ヘイヴンじゃない。

あの新築の家の角のところに看板を出しておけ。

奴らがあの気取った新しい庭の椅子に座るたびにビールが飲みたくなって我慢できんようにさせるんだ。」



マネージャー見習いはCEOの前で震えながら、なんとか穏便な形で指摘しようと努めていた。



「どういうことですか?

スタッフが足りていないんですよ?

人事から報告は行ってますよね?

人を雇って研修にいれてください。

ただ、あなたが何をしたいにせよ、そいつらにまともな賃金を出しちゃダメですよ。

私だって貧乏になるためにこの仕事をしているのではないのです。

あと、あの値引き担当はクビにしてください。

あの人は私の予算を食うだけです。

私たちは今からグルメバーガーを売るんです。

倍の値段のクズ飯ですよ。

マーケティング担当をここに連れてきてください!」

ルールブックより







目次

フードチェーンマグネイトとは


君はレストランチェーンのオーナーだ。

最近、この地区には別のチェーン店も参入してきており、競合が激しい。

オマケに現状、君は一文なしだ。

(参照:BGG)


さあ、ここから従業員を雇い、育成し、料理を作り、宣伝し、客に来てもらわねばならない。

そうでなければ、待っているのは破産の道だ。


できないって?


そんな選択肢はない。

もう、君はこのゲームを開いてしまったのだから。

この辛くもクセになる、最高のゲームを。





君はたった一人のCEO


さっきも言ったように、君はオーナーであり、今現在存在するたった一人の社員だ。

ここからすべてを始めなければならない。

どうしたらいいかわからない?

おい、それでも経営者か?

野心の一つくらいもったらどうだ。

そうだな…。

企業なら、その目的は利潤の追求だ。

手始めに銀行を潰すくらい稼いでみたらどうだ、ん?





まずは雇え


おい、まだ人に教えを乞うのか?

しょうがないな、基礎だけは教えてやるよ。


まずは、従業員を雇うんだ。

CEO一人じゃ、それは会社じゃない。

ただの個人事業主だ。

お前の目的は銀行を潰すくらい稼ぐことだろ?

ならまずは雇うんだ。

雇うのは誰だっていいが、未経験者がいいだろうな。

なんでかって?

金のないお前から、どうやって従業員の給料を出すんだ?笑

未経験者なら働かせてもらえるだけありがたいだろ。

無給でこき使ってやれ。





人「財」育成?


雇ったら次は教育だ。

社員を育てることは、後々会社を大きくすることに繋がっていく。

待て待て、何社長自ら教えようとしてんだ。

お前は会社の象徴だろ。

人には適材適所って言葉があるんだ。

人にモノを教えるのは、そういうことに特化したヤツがいるんだよ。

まずはそういうヤツを雇うことだな。





マーケティングって知ってるか?


よし、そろそろ会社として機能してきたか?

忘れてないとは思うが、お前は「レストランチェーン」のオーナーだ。

美味い料理を作って、客に提供をして初めて金が回る。

そのためには、客にこの店の存在を知ってもらわないかん。

そこで宣伝だ。

まあ、まだお前の会社にはマーケティングのマの字もわからねえような見習いしかいなさそうだからな。

とりあえず看板持たせてそこの家の角に立たせておけ。

もしかしたら客を拾ってくる、かもしれない。





仕入れだ、調理だ


よし、宣伝したなら客が来るかもしれん。

その時のために飲みもんと食いもんを用意するぞ。

おいそこの使いっ走り、スーパーでコーラとハイネケン買ってこい。

そこの調理師見習いは…料理したことあるのか?

まあいい、とりあえずバーガー作ってみろ。

え?味なんかどうでもいいんだよ、とりあえず口に入ればそれでいい。

技術は後からついてくる。





さあ、ディナータイムだ!


さあ、夜が来た。

見ろ、涎垂らしたゾンビみたいな住人がフラフラと旨そうな匂いに誘われて出てきたぞ。

と思ったら、なんだ!?

あいつら、ウチじゃなくて別のレストランに入りやがった!!

ちくしょう、同じバーガー作ってるのにあっちの方がちょっと近いからって!!

食ってから考えろよおいこら!

ん?そういやウチは味で勝負してないんだっけか?

なら薄利多売だ!

おい、明日は値引き係を雇うぞ!





労働には対価を


チッ、嫌な時間だ。

みんな大好き、お給料タイムだ。

奴ら、ちょっと自分の腕が上がっただけですぐ組合だ、権利だ、言い出すからな。

仕方ねえ、労働にはその対価を支払うのが世の常だ。

おっと、使いっ走りに調理師見習い。

お前らに払うお賃金はねぇ。

もっと偉くなってからもう一度来な。

まあ、こっちも払う金がなくなりそうなら問答無用でクビにするがな。





真夜中のマーケティングキャンペーン


ったく、夜も遅いのに外が騒がしいな。

どうやら昼に外に出したマーケティングボーイが近隣に宣伝してるらしい。

それ以外にも、ラジオや郵便、飛行船まで飛んでるな。

ふふふ、これなら明日の営業では休みなしで客が来そうだな。

よし、そうと決まればもうひと頑張りだ。





深夜の締め作業


さて夜も更けてきたな。

今日はせっかく作ったバーガーとコーラ、ハイネケンが全くの無駄になっちまった。

冷蔵庫があれば保存もきくが、あいにくウチにそんな代物はねぇ。

残念だが、これは廃棄だ。

裏口のゴミ箱にっと、お?

なんだ、こんなところにまだお客さんがいるじゃねぇか。

よーしよし、美味くねえかもしれねえが食べなおチビちゃん。

アンタがウチのお客第一号だニャン。







翌日はシフト決めから

今日もいい朝だ。

さて、朝一にすることは今日出勤してもらう従業員を決めることだ。

それ以外の従業員は休業だ。

まあ、休業でも給料は発生するがな。

有給休暇ってやつだ。

とんだ金食い虫どもめ。

おっと、気をつけろよ。

もし出勤従業員のシフトをミスると、最悪CEOのお前一人になっちまうからな。



このあとは、また従業員を雇う流れだ。

どうだ、なんとなくやることは見えてきただろ?

会社経営と金儲けっていうのは案外シンプルなんだぜ。


ただ覚えておけ。

今教えたのはあくまでお前の会社内部についてアレコレ考えることだ。

最初に言った通り、ここ一帯は他のレストランがひしめきあってる。

そこんとこもちゃんと考えとかねえと、猫ちゃん専用レストランになっちまうからな?


次は中でもここが面白えっていうとこを教えてやる。





おしゃれなアートワーク


まずはこの強烈な箱絵をみてくれ。

まるで1950年代の広告のようなレトロ感のあるアート。

決して万人受けはしない、けれどぶっ刺さるところには心臓を突き抜け、きっと貫通してしまっていることだろう。

ぱっと見では本当にボードゲームには見えない。

そんなところがとてつもなくお気に入りだ。


そしてそれは内容物、コンポーネントにもあらわれている。

巷で流行りの健康志向スムージー?

スーパーフード?

それともタピオカか?

そんなもんはいらねんだ。

バーガーにピッツァ、ドリンクはハイネケンとコーラでいい。







マニア向けな重ゲーム


このゲームは、アートワークでも言ったように決して万人受けするゲームではない。

頭を空っぽにしてパーティがしてえんなら、回れ右してお家に帰りな。

このゲームは、ゲームであり、会社経営であり、他レストランとの競合なんだ。

だからこそ、そんな生易しい気持ちでプレイすると大火傷喰らうぞ。

特に序盤はかなりヒリつく。

誰がどんなことをしようとしているのか。

その結果、自分の行動がどう制限されるのか。

1つミスを犯すと、ゲームの後半、君の椅子は残っていない。





鍵はマイルストーン


どうしてそんな緊迫した状況になるのかって?

そりゃもちろん、「マイルストーン」のせいだな。

マイルストーンってのは要は「中間目標」だ。


ゲームを進めていく上でのある程度の指標になる。

「このマイルストーンを目指して、まずは経営していこう」みたいな感じだな。


だがな、このマイルストーンがこのゲームの鍵であり、最も厄介なやつだ。

なんでか。

マイルストーンは、「有限」なんだ。

それがどういう意味か君はわかるか?

上で言ったようにマイルストーンは「中間目標」だ。

それに向かって行動しているはずだな。

なのに、気づいたらその目標がなくなっていたらどうする?

君はゴールのないマラソンを強いられることになる。

どこに向かえばいいのか、新たなゴールをそこで再構築しなくてはならない。

それだけでも他レストランとの差は圧倒的だ。

そうならないために、序盤は目を見開いて他レストランの動向をチェックする、ということだ。





最適解を見つけろ!営業部門と管理部門


そうは言っても、外側だけ見てたんじゃ今度は内部がガタガタになる。

外にも注意しつつ、内部でもしっかりとした体制を整えていかなくてはならない。

特に難しいのが営業部門と管理部門の比率だ。

このゲームにおいて、その比率を正しく把握できているものがいるなら、それは真の経営者というものだろう。

営業部門、管理部門というのは私が勝手に名付けているだけだ。

営業部門とは、実際に仕入れや調理をしたりする奴らだな。

生産部門といってもいいだろう。

彼らがいないと売るモノがないので、金を稼ぐ術がなくなる。

管理部門とは、そんな彼らを雇ったり、教育したり、要は会社の内部を整理する部門だ。

人事関係といってもいいだろう。

彼らは会社を大きくする上で不可欠だが、自身で何かを生み出すことはできない。

この大きく分けて2つの部門をどう切り分け、成長させていくか。

それは社長の君次第で、いかようにもなる。





買えるなら買っとけ拡張版

ここまでこのゲームの魅力はおろか、ネガティブキャンペーンのような紹介をしてしまったが安心して欲しい。

このゲームには拡張が存在する。

それも、より君たち無能経営者に寄り添った親切設計だ。

…おっと失言だったか、これは失敬。

拡張には追加のモジュールがいくつもついており、ゲームに合わせて追加したりできるようになる。

中には新たな商品である「コーヒー」や「キムチ」、そして日本人が大好きな「ヌードル」や「スシ」も含まれる。

そして新たなマイルストーンも搭載されており、簡単にゲームから脱落しないような作りになっている。

もちろんゲーム性も向上するため、非常におすすめなものと言えるだろう。





おわりに


いかがだろうか。

捉え方によってはこのゲームはもう「仕事」なのかもしれない。

雇って、教育し、宣伝をかけて、売って、稼いで、また雇って…。

今にも頭が痛くなってきそうだ…。


隣のレストランは今度はレモネードに力を入れているらしい。

ならウチも用意しなくてはならない、すぐにモノを運ぶための台車を用意しろ。

なに?原価が高くて隣より販売価格が10ドルも高い?

あのク○高級主任め、すぐブランド化しようとしやがって!

ここは夢の国じゃねぇんだぞ!!


…おっと、すまないね。

ここまで読んでくれて感謝する。

今受け持っているレストラン、どうやらかなり経営がヤバいらしい。

え?私がオーナーじゃないのかって?

とんでもない。

申し遅れましたが私、「株式会社アシストライズアドバンス」在籍、フードチェーン特化の経営コンサルタント「ひかふれ」と申します。

もし、経営にお困りの際は私までご一報いただければ、必ず御社を大企業にしてみせますよ。

では私は忙しいのでまた!





フードチェーンマグネイトとは

Food Chain Magnate

会社経営

2-5人

120-140分

14歳以上

Splotter・ニューゲームスオーダー

9
 
 

見た目

9
 
 

難易度

7
 
 

マニア度

7
 
 

リプレイ性

フードチェーンマグネイト
created by Rinker

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