私が大好きな漫画の話。【喰う寝るふたり住むふたり】




私の趣味はボードゲームだ。週末はおろか、平日でさえも暇さえあればボードゲームのことを考えているくらいには頭の中がボードゲームでいっぱいだ。

もはやライフワークといっても差し支えないくらい、私の体を構成する一部分となっている。

しかし、だからといってボードゲームだけを愛し、貫けるほど私は一途ではない。幸か不幸か、この現代には娯楽と言う娯楽がうずめきあい、私の短い生涯ではおそらく全てを消化できそうにもない。

私にとってボードゲームとは、その有象無象の中でたまたま手の届く範囲に落ちていて、それをたまたま拾い上げただけで、たまたま私のツボを刺激して、まだその熱が冷めていないだけなのかもしれない。

要するに言いたいのは、私はちょっとボードゲームオタクなだけで、一般的なミーハーとなんら変わりはないということだ。

だから、よく趣味として取り上げられるようなモノ、世間を賑わせているようなモノは一旦噛み付いて咀嚼する癖がある。スポーツ、読書、アニメ、スイーツ、etc…。

どれも新鮮で感じたことのない経験を私にもたらしてくれるものばかりだ。そんな中でも、ちょうどよい距離感で私を離さないのが「漫画」だ。スポーツほど始めるのに労力がかからず、かといってゼロストレスなわけでもない。

適度に活字があり、行間を読むのも苦でなく浸れる世界観は、手軽に経験できる極上な趣味と言えるだろう。

中でも私は、世界観が作り込まれた美しい作品や、熱すぎるくらいの友情やバトルもの、ストーリー性があるものを好んで読む。

一度読み始めると止まらず没頭し、読んでいる途中に涙がこぼれ落ちることも珍しくない。

悪い言い方になってしまうかもしれないが、鉛筆と紙だけで人の感情をここまで揺さぶることができるのかと、作品を読み終えるたびに震えた。



そんな私が愛する作品たちはまたどこか機会があれば書きたいのだが、今日紹介するのは上で話したようなものには一切当てはまらない作品だ。

自分の本棚を見ても、今日紹介する系統の漫画は置いていない。しかし、もし10しか漫画をストックできない世界ならば、私はこの漫画を選ぶに違いない。

その作品の題は「喰う寝るふたり住むふたり」という漫画だ。

内容としては、いわゆる「日常」系の漫画。熱いバトルや、作り込まれた世界観はない。一見、どこにでもいそうなカップルのゆるゆるっとした日常が描かれている。

そしてここまで読んでくれた上に期待させて申し訳ないが、私は別にこの漫画をオススメしたいわけではない。

今こうして書いているのは、私が「大好き」な漫画なのだ。

それを承知でもし読んでみたいと思ったのなら、ぜひ手にとって読んでみて欲しい。では何がそこまで好きなのか。

それは私とこの漫画の核になる部分が共通しているからに他ならない。

この核となる部分は、物語の始めでわかることなのでネタバレにはならないだろうから言ってしまう。それはこのカップルが「交際10年、同棲8年」の超がつくほど付き合いが長いカップルであるということだ。

まったくいない例というわけではないが、それでもびっくりするほどの交際年月。私が初めてこの本を手に取った時の感想も同じく、「びっくり」であった。

「こんな同じ境遇の漫画があるとは!!」という本来の驚きとは違う驚きで。

もちろんすぐに全巻を買い揃え、家でじっくり読むと、まあ恐ろしいほどに感想が「わかる」しか出てこない。

誠に図々しいことこの上ないが、作者の日暮キノコさんは私のことをストーキングしたのかと思うほどであった。

そしてこの漫画のもう一つの大きな魅力が、それぞれの立場の1人称視点で描かれている点だ。

こうした日常系の漫画に留まることではないが、私たちは物語を「読む」「見る」という立場上、どうしても俯瞰しているような構図がとられることも多い。

しかし、この漫画は同じ物語を「彼氏側」「彼女側」から、彼等の視点で物語を楽しむことができるのだ。

同じ物語なのに「男性側はこんなことを思っているのか」「女性側はこんな気持ちなのね」とまるで違う物語を見ている気分になれる。

そのほかにも漫画ならではの「絵が可愛い」だとか、「カップルならではの悩みを細かく描写してくれている」だとか、とにかく主人公カップルの隅々まで魅力的な要素があるが長くなってしまうのでここでは止めておく。

私の場合設定の時点でもうこの作品に捕まってしまっているので贔屓目はあるのだろうが、とにかく超お気に入りの漫画だ。

さて、なんでこのタイミングで、しかもボードゲームとは関係ないのに今回紹介したのか。漫画はすでに5巻で完結済みである。



それは、なんと今日その続編である「喰う寝るふたり住むふたり続」の単行本1巻が発売されたからだ。

ここ1ヶ月くらいで一番嬉しい出来事の一つだ。今この記事を書いているが、読むのはこの記事が出た後なので、今読みたすぎて手が震えている。

私はこの漫画や作者の方とはなんの関係もないのだが、どうしても大好きな漫画であるということで今回筆を取った次第だ。

もし気になって読んでみたいなと思ってくれた方は、手にとってみて欲しい。

きっと、読んでいると胸がホカホカする彼らに出会うことができるから。

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